(僕独6) 世界遺産に行けるかもしれない〜If wishes were horses, beggers would ride〜
旅先でキレよう
フランスで先輩にあってから最高にテンションが高かったが、その甲斐もあるのか何なのか知らないが僕はバルセロナで滅茶苦茶先輩にキレた。
乙くんと当初話していたとおり、僕は世界遺産に興味が無い。
先輩と会ってから色々なご当地の美味しいものを堪能できたのでかなり満足していたのだが、先輩は世界遺産に興味がある方らしい。
アムステルダムには世界遺産が沢山ある。ガウディがいたからだ。
街の至る所にあるのでレンタサイクルを借りて周ることにした。天気もいいし。
まずはスペイン村に行った。要は日光江戸村みたいに観光客相手のなんちゃってな場所だが、手っ取り早くスペイン文化がわかる。
(ガラス工芸が有名らしい)
が、歩きまわってるうちにiPod touchがなくなってしまった。
慌てて先輩に探してくると言った。
そうか、と先輩が言った後、
「よし、次行こうぜ」
は?何言ってんだこいつ?いや、この人。
何度もWifiつなげられる機器が僕のライフラインだって言ってあるのに。
「探す時間が勿体無いから次の世界遺産行こうぜ」
ごめん、なくしたのは僕が悪い。たしかに。僕の落ち度です。でも普通形式上でも心配するよね?なんだこいつと思ってキレた。おいおいふざけんな!と。先輩だがそんなの関係ない。
うるせーなどうせこの辺に入ってんじゃねーのと先輩が僕の体をまさぐる。
胸ポケットにあった。あれ?
「ほらいいだろ、行こうぜ」
なんだ、このモヤモヤした感じ。僕が悪いのにイラつく。
その後も移動する途中で自転車で勝手に爆走し始める先輩にもキレた。地図を確認しているうちにへいへいへーいと全く目的地と違う方角へ自転車を漕いで行ってしまうのだ。
勝手にどこかいっちゃダメよ!お母さん心配するでしょうが!と。目が離せない。
(オレンジのウィンドブレーカーを着て悠々と走ってるのが先輩)
世界遺産を周ろう
(昼飯)
先輩が見たいというのでF.C.バルセロナのスタジアムへ。
楽しかったと思う。
次にカサ・ミラに行く。これはガウディが建てたアパートだがその独創的な形から世界遺産に登録されている。しかも土産物屋や観光客が普通に見学しているのに、そのアパートには普通に人が住んでいるというから驚きであった。
ここでは日本語ガイドのトランシーバーのようなものがあったので英語のガイドに苦しむことはなかった。
途中も色々な所を見て回ったせいで、次もガウディが建てたアパートのカサノヴァに行く頃にはもう夕方になってしまった。
だが一番の名所、サクラダファミリアが残っている。カサ・ノヴァもカサ・ミラときっと同じ感じだからサクラダファミリアをちゃんと見ましょうと先輩に進言。
「おれはとにかく周りてーんだよ」
「いや、それだとサクラダファミリア10分も見れないっす。カサノヴァも同じくらいっす」
「いいんだよ、それで」
「よくねーよ!意味ねーだろ!インスタントな思い出つくりか!」
フランスで会えたことに感動して『先輩に一生ついていきます!』とも言ったのに、あんなにアムステルダムについた時楽しかったのに、勝手に人の旅についてきてるのに。
あまりにも身勝手だったがとにかく喧嘩した。喧嘩というより勝手に激昂してたが。
サクラダファミリアは当初はそもそも行く予定はなかったのだが、スペインに行くと決まった時にどうしても行きたいと思ったのだ。唯一。それをこんな無神経な先輩のせいで潰されると思ったらキレずにはいられなかった。
とは言え、やはり勝手についてきてる身なのでカサノヴァも周った。
滞在時間15分。
その後大急ぎでサクラダファミリアへ。やはりでかい、がそんなことを思ってるよりも先に日が暮れかかっているので急いで受付へ。
受付のお兄さんにチケット2枚というと「あと15分しかないよ」と言われた。それでもいいからというと鼻で笑われた。
俺らのサクラダファミリアを15分で見れっかよじゃぽねーぜがって感じに。
これにもキレかけたがさっさと見て回りたい思いが強かったので急いで入った。
サクラダファミリアはとにかく天井が広くて至る所に芸術的な細工がされていた。
これが15分しか見れないなんて、と実にがっかりだった。
サッカーを観よう
夜は運良くF.Cバルセロナの当日試合があり当日券を購入して観戦しに行った。
実は消化試合だったらしいがスタジアムの熱気はものすごかった。
サッカー好きでない自分も思わずはしゃいでしまうくらい世界のメッシが点を決めた。結果F.Cバルセロナは6点もとり、終わった頃には僕もすっかりミーハーファンになってグッズを買って帰った。
次の目的地マドリードでもスタジアムに行った。試合は残念ながらやっていなかった。
イギリスへ行こう
それからイギリスに飛行機で移動。
手荷物の申請をしていなかったせいで余計に料金がとられてしまった。
イギリスではシャーロック・ホームズ博物館に行ったり。
フォートナム&メイソンで紅茶を飲んだり
(昼飯後に英語がわからず二人で2個頼んでしまった)
ストーンヘッジを見たりした。
郊外へ行くバスツアーだったのでゆっくりできたせいで喧嘩はしなかった。
フィッシュアンドチップスも紅茶もしっかり飲んだ。
順調に旅もこなしてきた所で先輩がふと言った。
「お前これからどうするんだ。俺はお前より2日早く買えるけど」
そう、先輩はこの後イギリスからオランダへ戻るのだ。僕はあと4日ほど残っている。
ここで先輩と一緒に日本に帰るのも手だが、ここまでで喧嘩(キレつつ)もなんだかんだ先輩のおかげで旅慣れた気がする。
そろそろ自分のもとの旅に戻っていいかもしれない。
「スイスでスキーしてから帰ります」
この旅でどうしてもしたかった一つ。
酒や食事は十分堪能した。でもせっかくなら初志貫徹したい。
僕は先輩と別れ一人旅に戻ることにした。
その夜はしっぽりと二人でビールを飲んで寝た。
その後先輩がバスルームの床を水浸しにしてまたキレた。
(風呂に入りたく浴槽に湯をためたらしいが、終わった後排水口で流しきれなかったから。海外の排水口処理能力は低いことが多い)
(続く ぜ)